一般の方々は勿論のこと、かなりの競馬ファンでも御存じない方が多いと思うが、この世の中には『競馬番組表理論研究家』という、ある意味哀れで、ある意味非常に幸福な人たちがごく少数いる。普段はほとんどやらないがダービーや有馬記念の時だけ馬券を買う、または関心があるというような人まで含めれば、日本の競馬ファンは数千万人はいるのではないか。そのうち競馬番組表理論家というのは、少しかじったけどすぐやめたとか、多少の出入りはあるものの、コアな部分は1000~2000人ほどと推定される。まあ言ってみれば私もそのうちの1人なのだろうが、皆少し普通と変わっている。が、いわゆるオタクとも全然違っているのである。
『競馬番組表理論研究家』というと偉そうだが、基本的に世の中で認められた専門家ではない。一般的に「競馬ファン」というと、ギャンブル好き=勉強とか細々したことは嫌いというイメージがある。そもそもストレスの発散や、一攫千金を夢見てやっていることなのだから当たり前だ。が、彼らはおおむね非常に勉強好きだ(それは競馬にほとんど関係ないが・・・)。そして、全員ではないが、本末転倒というか、馬券で儲けることよりも自分の理論が証明されたことの方に喜びを感じるのである。だから、『馬券は外れたけど、理論的には正解だった』などと嬉しそうに語るのである。なぜ「理論研究家?」なのかというと、最初はともかくある程度知識を身に付けると、誰もが皆「俺の理論が最高だ!」となるからである。そして自分以外には誰にも相手にされないのだが、本人は「この理論は誰にも教えてやらない」と本気で思っているので、全然平気なのである。
自戒の念を込めすぎて、少々自虐的になってしまった。 しかしながら、逆に言えばそれほどまでに『番組表理論研究』というものは、楽しくてやりがいがあるのである。それはすなわちJRA競馬が、史上最高のエンターテインメントであるということの証明でもある。私もずいぶんと偉そうなことを言っているが、まだ競馬研究を始めて10年ほどなので、まだまだこの世界(どの世界?)では「ヒヨっ子」だ。今このサイトを御覧になっている皆さんの方が大先輩であるかもしれない。もっとも競馬番組表理論自体が、片岡勁太先生の出現を起源とするならたかだか20年程度のものなわけで、ならば私ももう中堅か・・・。いずれにしても、各々が蛸壺的に自らの殻に閉じこもるこの閉塞的な状況を打破して(別に打破する必要も無いのだが)、「競馬番組表理論研究」の楽しさを広めるために、はなはだ僭越ながら微力を尽くしていきたいと思う次第である。 |